社長インタビュー

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「ボルトメーカー」から
一歩先の
「パーツメーカー」へ

大阪螺子製作所 取締役社長 西田 英夫

大阪螺子製作所 取締役社長 西田 英夫

2017年 3代目社長就任

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ネジ一筋からの脱却と進化を叶えた「金型内製」

大阪螺子製作所に入社した当時を振り返っていただけますか。

前職はネジと全く関係のない異業種で、顧客の意見を聞きながら一品一品対応していく営業の仕事でした。大阪螺子製作所には1999年に入社しましたが、率直に言って「硬直している」と感じました。
当時は標準品の売上が9割を占め、まさに「ネジ一筋」。毎月決まった注文があり、決まったモノをつくる状態で、今までつくったことがない製品の見積り依頼があった場合は、挑戦する前から断っていました。
ある時、顧客の所へ出向き、生の声を聞いた私は、痛烈な危機感を覚えました。「今の大阪螺子は、顧客ニーズに対応していける状態ではない」と。以前、外の会社にいたからこそだと思いますが、新鮮な目で会社組織を見直し、お客様の要望に対して柔軟に対応できる組織づくりや技術革新を進めなければいけないと考えました。

具体的にはどのような取り組みだったのでしょうか。

これまでの標準的なボルトだけでなく、機能部品を増やしていくことです。締結機能だけではなく、レバーや回転軸など、多様な役割を持つパーツも製造できる会社を目指しました。
機能部品は、標準品と比べて形状が複雑で、加工も難しくなります。ただ、顧客の要望がより特殊かつ高精度なものに移り変わっていく未来を見据えた時、対応できる部品の範囲を広げ、「提案型」の開発を行っていくべきだと考えました。
そこで取り組んだのが、冷間圧造用金型の内製化です。弊社のモノづくりは、いくつもの工程の組み合わせですが、製品の形状の大部分をつくるのが「圧造」の工程です。金属素材に圧力を加えて形状をつくり出す加工法の圧造に欠かせないのが、製品ごとの「金型」になります。
金型は従来、すべて金型メーカーに外注していましたが、研究や大型設備投資を行い、2008年に社内で内製化できる体制を整えました。
社内で金型をつくることでモノづくりのノウハウが残り、コストや時間を大幅に減らすことができます。金型の内製化は、求めていたスピーディで柔軟な対応を可能としましたし、10年が経ってようやくお客様からの印象が「ボルトメーカー」から「パーツメーカー」に変わってきたことを実感しています。

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ナンバーワンではなくオンリーワンを追求

取締役社長として描く、今後の経営戦略とは。

私たちの日々の仕事は、何か1点当たればドーンと業績が伸びるような業界ではありません。顧客のニーズを敏感に察知し、柔軟に舵取りを行いながら、少しずつ製造品目を積み上げていく。その地道なモノづくりを全体的に底上げし、利益を伸ばしていくことが求められると思います。
自動車関係の製品は、ライフサイクルが長く、一度受注が取れた製品は何十年と繰り返し注文していただけることが多いです。その長い年月の中で、受注量の推移を見ると、思ったより伸び悩んだこともあれば、突然急増することもあり、その動向を完全に把握するのは困難です。
だからこそ、幅広い分野の製品を取り扱い、新しいチャンスをどんどん掴んでいくことが必要です。現在、売上全体に占める標準品の比率は9割から6割程度となり、機能部品は4割ほどにまで増やすことができました。
近年は、部品調達の現地化も進んでいますので、2013年にはタイに生産拠点を構えました。海外進出されている自動車関連メーカー様から注文をいただけるよう、積極的にアプローチしていきます。

大阪螺子の強さの秘訣はありますか。

量だけでなく、質でも勝負できることです。標準的なボルトを高品質で大量に作り続けることはもちろん、私たちにしかできないことにチャレンジし、スピード感をもって顧客の要望に応じられることが強みだと思います。
とにかくスピーディな提案をすることが第一です。金型の内製化によって、高めてきた短納期での開発力をさらに磨き、ナンバーワンでなく、オンリーワンを追求していきます。

西田英夫社長
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業務の標準化、工場の自動化で、働き方改革を推進

社会的課題である「働き方改革」への取り組みはいかがですか。

働き方改革の一環として、2019年は年間休日を前年から2日増やし、116日としました。目標は、作業効率化をさらに進め、年間休日数120日まで引き上げることです。
生産性を上げる取り組みは、個人・部署・会社単位で行っていますが、まずは個々の意識改革が大切です。長時間会社に残って仕事をするよりも、早く仕事をして、早く自宅に帰り、自分の時間を趣味や余暇に使う方がよっぽど有意義ですし、結果的に仕事の効率化にも繋がると思います。
仕事を属人化するのではなく、自分ができたことは他の社員もできるよう「標準化」を進め、会社全体の生産性を上げていかなくてはなりません。

近年は、機械・設備の自動化による作業効率の向上も顕著です。

工場の自動化及び効率化は、会社として推し進めています。工場内に自動搬送車を導入して物流を効率化し、従来は手で行っていた作業を順次ロボットに置き換えています。
自動化することで、人はもっと考える仕事に時間を使い、作業効率の改善や働き方改革はさらに進むはずです。
自動化設備や周辺設備の設計も、社内で行っています。専門部署のスペシャリストたちが、現場の作業者の意見を聞きながら、ユーザーフレンドリーな設備を作ってくれています。
各自が定められた時間の中で業務を遂行する意識を持ち、業務の標準化を図りながら、身近なところから改善を積み重ねていくことで、大阪螺子製作所としての働き方改革を実現したいと考えています。

西田英夫社長